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昭和二十年八月六日、午前八時十五分、エノラ・ゲイ号が飛来し、原爆が投下された。太陽の千倍の明るさの閃光と大地を揺るがす大音響とともに、爆発点の温度は摂氏百万度以上に達し、広島の市街は一瞬にして壊滅した。
 かつて、ハンガリー生まれのアーサー・ケストラー氏は、“有史、先史を通じて、人類にとってもっとも重要な日はいつかと問われれば、わたしは躊躇なく1945年8月6日と答える”と述べている。
 小生、広島に来てから20余年になるが、その間、平和公園に立ち寄り、広島に投下された原爆の意味を問いながら歩いたこともしばしばであった。不思議に感じるのは、あの惨劇の日から60年を迎えようとする今日において、なお、昨日のことに思えてならないのである。
 私は、被爆した者でもなく、広島の惨状を直接見たわけでもない。にもかかわらず、このような感懐を抱かせるのは、この地が人類史の大転換を告げる空間であり、平和の原点として、今日も、そこから放射される深遠にして荘重なる意味を、世界に向かって問いつづけているからであろう。 
 おそらく、世界の恒久平和達成の日まで、ここを訪れる人々に同じ感懐を呼び起こすに違いない。
これが達成されたあかつきには、広島の使命は一つの終わりを告げ、慰霊碑に祭られている御霊達の心に、本当の平和が蘇る時であろう。その時の一日も早く来らんことを願い、祈り続けたい!


     

広島の心

詞/曲・歌:二神種昭
歌:河野由美子
ピアノ:松本裕子

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1.
芽を吹く木々に槌音高く
悲しみを越えて立ち上がり
御霊に捧げる安らぎを
過ちは繰り返しません
あ~、広島の心
それは世界の平和の誓い

 

2.
あの日を伝える原爆ドーム
世界の人々集い来て
尊い命を語り継ぎ
鳩は飛び鐘は鳴り渡る
あ~、広島の心
それは世界の平和の祈り

 

3.
青い惑星地球のうえで
国の戦い夢と消え
人の栄光耀きて
永久の幸楽園築くまで
あ~、広島の心
それは世界の平和の願い


※「広島の心」は1994年に作詞作曲、2003年7月CD製作。


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《碑文の真意について》

歌詞1番、“過ちは繰り返しません”は原爆慰霊碑の碑文、
“安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬ”から借用した。
 この碑文には主語がないと言われ、また、原爆を投下したのは米国であり、これを日本が謝る必要はないとする意見もあります。
しかし、この短い碑文には人類全体を主語とする懺悔であり、誓いであり、悲願である世界恒久平和の天意が示されていると思います。
拙作〈広島の心〉CDを製作後、中国新聞に広島市の大西比呂志様が投稿された文面を拝見し、同感するとともに、大変貴重な文章であることを電話で連絡させていただき、CDをお送りしました。
早速、大西様より折返しお手紙と資料をお送りいただきました。
碑文が作られた真意を多くの人々に知っていただくために、大西様が書かれた文章を了解を得て以下に掲載させていただきます。
 なお、大西様は、お母様を原爆で亡くされ、ご自身も被爆され、原爆の悲惨さを「被爆の記」「原爆の絵」として作成されました。

 

 

《安らかに眠って下さいください 過ちは繰り返しませぬから》

広島平和公園の原爆死没者慰霊碑に刻まれたこの言葉は昭和二十七年に当時の浜井市長が私の大学の恩師の雑賀教授に頼まれて出来たものだが、戦後極東国際軍事裁判の判事をつとめたインドのパール博士が、
 「日本は広島に原爆された被害者であるのに過ちはアメリカに対して繰返させませぬからというべきでないか」という批判に対して、この言葉の作者であり、碑の文字を揮毫された方でもある広島大学の雑賀教授は私のクラスの授業に出られて
「君達は良く私の意を体して後の世代に伝えて欲しい。」
と言われたのは
「核兵器の惨禍から全人類を守り世界恒久平和実現のために全力を尽くさねばならない。そのためには誰が悪い彼が悪いという次元の考えでなんでこれからの人類が一体となって恒久平和の実現が出来ようか。
出来るはずがない。私が書いたこの碑文は全人類が恩讐を越えて恒久平和一筋にひたすら進むための精神を具現化するものである。それでなくて、何で平和な世界をつくり得ようか。」
 今でもまざまざとこの雑賀教授の声涙共に下る真剣な授業を思い起こすのである。
 み霊よ 安らかに眠ってください。

 

 

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